輸出入ビジネスにおいて「通関」は、避けては通れない重要なプロセスです。
しかし実際には「書類不備で遅延」「規制品目で止められた」「税関検査で追加費用が発生」など、通関トラブルは業務全体の遅延やコスト増加につながる大きなリスクです。

この記事では、通関トラブルが発生する代表的な原因と、それらを未然に防ぐための事前確認ポイントを、実務目線で整理したチェックリスト形式で解説します。


✅ 通関トラブルとは?

通関トラブルとは、貨物が輸出または輸入される際に、税関での審査・申告手続きに関して発生する問題全般を指します。


✅ 主な通関トラブルの種類と実例

トラブル内容発生例結果
書類不備・記載漏れHSコードの未記載、インボイスに情報不足申告保留・修正指示・再提出
HSコード誤り類似品のコードを流用した関税率変更、FTA無効化、追加税発生
原産地証明の不備FTA申請時にCOの署名・HSコードが不一致優遇関税の適用不可
規制品の申告漏れ医療器具・食品・化学品など輸入許可が必要だったが未取得で差止
通関締切ミス港到着後に通関処理が間に合わず保管料・滞船料の発生、納期遅延
貨物の内容と書類が違うパッキングリストと現物の数量が不一致税関検査実施、通関停止

✅ 通関トラブルを防ぐための【事前確認リスト】

通関は「準備8割・申告2割」と言われるほど、事前準備が重要です。以下に項目別のチェックリストを用意しました。


📋 1. 基本書類の整合性チェック

チェック項目確認ポイント
インボイス(I/V)商品名・価格・数量・INCOタームズ・通貨・仕向地が明確か
パッキングリスト(P/L)インボイスと数量・重量が一致しているか
船荷証券(B/L)船名・航海番号・積出港・仕向港・貨物情報が正しいか
原産地証明書(CO)FTA用であれば協定対応の書式・HSコード・署名があるか

🔎 2. 商品分類と規制品のチェック

チェック項目確認方法
HSコード財務省「関税率表」または通関業者と相談して適切なものか
輸出貿易管理令(輸出)規制対象(武器、技術、戦略物資等)に該当しないか
輸入届出制品目(輸入)医薬品、化粧品、食品、玩具などに規制がないか確認
動物・植物検疫の対象か農産物・木材・皮製品など該当するか

⏰ 3. スケジュール管理とブッキング連携

チェック項目内容
通関締切日(Cut-Off)船社・フォワーダーからの通達に従い、余裕を持って準備
書類提出期限出港前・航空便前の24時間ルール(米国AMSなど)に対応
通関業者への依頼時期出荷3〜5営業日前には必要書類を共有しておく

💼 4. 実務体制と役割分担の確認

チェック項目確認方法
誰が通関するのか自社?フォワーダー?委託先を明確に
税関との連絡体制窓口担当者・緊急連絡先の把握
トラブル発生時のフロー書類修正・再提出・費用発生時の判断基準を事前に設定

✅ 通関トラブルが発生したときの初期対応

トラブルタイプ対応方法
税関からの修正指示速やかに修正書類を提出(1営業日以内推奨)
FTA非適用となった場合通常関税で輸入 or 次回出荷時に再申請検討
検査対象となった場合検査立ち合い or 委託し、追加日程を調整
差止品の場合経済産業省・厚労省・動植物検疫所などに相談し対応

✅ まとめ:通関準備は「事前の情報整理」と「正確な書類」がカギ

ポイント要点
書類の整合性I/V・P/L・B/L・COの項目一致と誤記なし確認
商品分類と規制HSコードと各種届出・検査対象かの事前調査
スケジュール管理Cut-off、AMS、ブッキング、通関締切日を逆算で準備
実務体制通関担当者の明確化、連絡体制、緊急対応フローの整備

📝 実務アドバイス

  • 通関書類のテンプレートは「毎回コピペ」ではなく都度見直しが必要
  • 社内で「輸出通関」「輸入通関」のチェックリストを標準化するとトラブル激減
  • 規制確認は品目だけでなく、用途・構造・成分・原材料まで確認すること

通関トラブル防止簡易チェックリスト(※自社にあった最適な形に改善してください)