海外との輸出入において欠かせないのが「貿易書類」です。
しかし、I/V?B/L?P/L?CO?といった略語が多く、「何をどう使えばいいのかよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?

この記事では、国際貿易で頻繁に使われる基本的な書類4つ(B/L・I/V・P/L・CO)について、役割・用途・提出先などをまとめて解説します。実務経験の浅い方でも理解しやすいよう、図解イメージや具体的な使用シーンも紹介します。


✅ 貿易書類とは何か?

貿易書類とは、海外取引において「契約内容」「貨物の中身」「輸送手段」「関税評価」などを証明するために使用される書類です。

主な目的は以下の通り:

  • 税関への申告・通関
  • 銀行決済(L/C支払い)
  • 船会社・航空会社への荷渡し・引取
  • 相手国での輸入許可や優遇関税の申請

✅ 主要書類4種の役割一覧表

書類名略称正式名称主な役割発行者使用先
インボイスI/VInvoice請求書、価格証明売り手税関、買い手、銀行
パッキングリストP/LPacking List梱包内容明細売り手税関、輸送業者
船荷証券B/LBill of Lading輸送契約&貨物受領証船会社買い手、銀行、通関業者
原産地証明書C/OCertificate of Origin原産国を証明する商工会議所等税関(主にTPPやFTAなど関税の免税や減税適用時、その他に輸入国から求められる場合があります)

✅ 各書類の詳しい解説

📄 1. インボイス(Invoice:I/V)

役割:取引金額や取引条件を示す「貿易版の請求書」

主な記載項目

  • 売り手・買い手の情報
  • 商品名・数量・単価・合計金額
  • インコタームズ(FOB, CIFなど)
  • 船積港・仕向地

使用シーン

  • 税関への価格申告
  • 銀行での信用状決済(L/C取引)
  • 相手国の関税計算

🔎 実務ポイント:商業インボイス(Commercial Invoice)とプロフォーマインボイス(Proforma Invoice)は別物。後者は見積段階で使用。

関連記事:貿易で使うインボイスはコマーシャルインボイスとプロフォーマインボイスどっち?


📦 2. パッキングリスト(Packing List:P/L)

役割:貨物の内容物を箱単位で詳細に記した「明細書」

主な記載項目

  • 梱包単位ごとの内容(箱番号、数量、重量、寸法)
  • 商品名と梱包形態
  • 総重量・正味重量・容積など

使用シーン

  • 輸出・輸入通関
  • 荷役・検品・仕分け作業
  • 船積書類との照合

🔎 実務ポイント:複数の仕向地がある場合や混載貨物ではP/Lの正確さが命。箱番号とインボイスの整合性も重要。


🚢 3. 船荷証券(Bill of Lading:B/L)

役割:運送契約の証拠であり、貨物の受け渡しにも使える権利証書

主な種類

  • オリジナルB/L(Negotiable):貨物の所有権を移転できる。原本をDHLやFEDEXなどで送付が必須
  • シーウェイビル(Sea Waybill):譲渡不可、早期引き取り用
  • サレンダードB/L(Surrendered):現物不要、メールなど電送で対応可

使用シーン

  • 銀行L/C決済の担保書類
  • 買い手が貨物を引き取る際に提示
  • 貨物トラブル発生時の責任確認

🔎 実務ポイント:原本が必要か、サレンダーでよいかは契約前に合意。B/Lが発行されないとL/C条件を満たさず支払い遅延のリスクも。


🌐 4. 原産地証明書(Certificate of Origin:C/O)

役割:輸出製品がどこの国で生産されたかを証明する

主な種類

  • 一般原産地証明書(第三国向け)
  • EPA・FTA用原産地証明(特定協定対応)
  • 自主発行制度(自己申告書)

使用シーン

  • FTAに基づく関税優遇措置の申請
  • 規制品目の輸入審査
  • 相手国の原産国要件クリア

🔎 実務ポイント:書式・提出先は国ごとに異なる。商工会議所などで事前登録が必要なことも。


✅ まとめ:まずこの4種を完璧に理解しよう!

書類簡易説明誰が作る?誰が使う?
インボイス請求書売り手買い手・税関・銀行
パッキングリスト明細表売り手税関・物流会社
船荷証券運送契約&貨物権利証船会社買い手・銀行
原産地証明書関税優遇・規制対応商工会議所等税関・買い手

✍️ 実務アドバイス

  • インボイスとP/Lの整合性は常にチェックするクセを
  • 輸出通関時に必要な書類セットは 「I/V + P/L + C/O(必要ならB/L)」
  • B/Lの原本かサレンダーかを事前に確認してトラブル回避
  • FTA対応のC/Oは「原産性証明」と「形式チェック」の2段階が重要
  • これらの書類以外にも衛生証明書や洗浄証明書、非該当証明書、製造工程表、成分表など輸送先や貨物の内容によって必要な書類は様々あります。