「関税って、なんとなく税金だとは知っているけど、実際にはどう払うの?」「種類があるの?」「仕組みは?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では関税の基本的な仕組み・分類・支払いまでの流れを初心者にもわかりやすく解説します。
目次
✅ 関税とは?
関税(Customs Duty)とは、外国からの貨物が国内に輸入されるときに課される税金です。
目的は主に以下の2つ:
- 国内産業の保護(保護関税)
- 財源の確保(財政関税)
関税は、輸入通関時に税関が課税し、輸入者が支払います。
✅ 関税が発生するタイミング
関税は、「通関」の過程で発生します。
- 貨物が港や空港に到着
- 通関業者(または輸入者)が輸入申告
- HSコードに基づいて関税率を判定
- 課税価格(CIF価格)に税率を乗じて関税額が決定
- 支払い後に貨物が引き渡される
✅ 関税の分類(目的別)
種類 | 内容 | 主な対象 |
---|---|---|
基本関税 | WTOルールに基づく関税(通常関税) | 多くの輸入品 |
特恵関税 | 発展途上国に対して低い税率を適用 | 一部製品・GSP制度など |
協定関税 | FTA/EPA協定で合意された関税率 | 日本-EU、TPPなど |
報復関税 | 不公正貿易に対抗して高税率を課す | 例:アンチダンピング関税 |
暫定税率 | 一時的に適用される特別税率 | 政策的な調整目的 |
✅ 関税の課税対象:何に対してかかるの?
関税は、CIF価格に対して課税されます。
項目 | 説明 |
---|---|
C = Cost | 商品代金(FOB価格) |
I = Insurance | 海上保険料 |
F = Freight | 運賃(海上輸送費) |
つまり、「商品価格+運賃+保険」=CIF価格 × 関税率 = 関税額
✅ 関税の支払いの流れ(通関〜納税まで)
後ほど画像化しますが、ここではまず文章で解説します:
- 貨物到着(港・空港)
↓ - 通関申告(NACCSを通じて)
↓ - HSコード確認 → 税率決定
↓ - 関税・消費税を計算(CIF×関税率)
↓ - 納税通知書(関税納付書)発行
↓ - 輸入者または通関業者が支払い(銀行経由・電子納税も可)
↓ - 貨物引き取り・配送手配

✅ 誰が払うの?(納税義務者)
原則として、「輸入申告をした人(=輸入者)」が納税義務を負います。
ただし、通関業務を通関業者に委託している場合は、実際の支払い処理も代行されるケースが多いです。
✅ 関税率の調べ方(日本の場合)
方法①:財務省「関税率表」
https://www.customs.go.jp/tariff
方法②:日本関税協会「Webタリフ」
🔍 検索例:「8528(モニター)」や「toothbrush」など商品名やHSコードで検索可能
✅ 関税に関するよくある誤解
誤解 | 実際は… |
---|---|
「FOB価格に対して関税がかかる」 | ❌ CIF価格が基準です(商品+保険+運賃) |
「関税は後から請求が来る」 | ❌ 通関時に一括納付です(納税完了後でないと貨物引き取り不可) |
「関税率はどこでも同じ」 | ❌ 国や協定、品目ごとに異なります |
✅ まとめ:関税の基本理解でコストトラブルを防ごう
項目 | 内容 |
---|---|
関税とは | 輸入時に課される税金(国内産業保護+財源) |
課税対象 | CIF価格(商品代+保険+運賃) |
支払者 | 輸入者(または代理通関業者) |
税率の決まり方 | HSコードに基づく分類 × 税率表で決定 |
調整方法 | EPA/FTA・特恵関税・一時免税などを活用 |