輸出入業務や越境EC、OEM製造で重要となるのが「船積みスケジュール」の管理です。
その中でも**ETD(出発予定日)とETA(到着予定日)**の読み方や確認のタイミングを誤ると、納期遅延や保管費用の発生など、さまざまなトラブルの原因になります。
この記事では、ETD/ETAの意味や読み方、調整時に見るべきポイント、実務での活用法と注意点をまとめて解説します。
目次
✅ 船積みスケジュールとは?
船積みスケジュールとは、貨物を輸送する船の出発日・到着日・中継地・所要日数などをまとめたスケジュール表です。
通常、フォワーダーや船会社からPDFやExcel、またはオンラインポータル経由で提供されます。
✅ ETD・ETAとは何か?意味を正しく理解する
略語 | 意味 | 英語表記 | 説明 |
---|---|---|---|
ETD | 出発予定日 | Estimated Time of Departure | 船(または飛行機)の出発予定日時 |
ETA | 到着予定日 | Estimated Time of Arrival | 到着地での着港(着陸)予定日時 |
📍 どちらも 「予定」=Estimated なので、確定ではなく変更される可能性がある点に注意しましょう。
✅ ETD・ETAの情報源と読み方
📦 ① フォワーダーからの出荷案内書(Booking Confirmation / Shipping Schedule)
- 出荷地(Port of Loading):例)Yokohama, Japan
- 到着地(Port of Discharge):例)Los Angeles, USA
- ETD:2024年6月15日
- ETA:2024年6月29日
- Vessel Name:OOCL Tokyo V1234
📍 **Vessel Name(船名)とVoyage No(航海番号)**もセットで控えておくと追跡しやすくなります。
🔍 ② 船社のオンラインスケジュール検索
多くの船会社は公式サイト上に「Schedule Search」ページを設けており、港名・日付・Vessel Nameなどから検索可能です。
例:
Maersk → https://www.maersk.com/schedules
ONE → https://www.one-line.com/en/schedules
✅ ETD/ETAに影響する要因
ETD・ETAは予定であり、以下の理由で変更されることがあります:
原因 | 内容 |
---|---|
天候 | 台風・濃霧・荒天などにより港の運用が遅れる |
港の混雑 | 混雑によってバースが空かず停泊待ちが発生 |
スペース不足 | ブッキングが想定より多く、後続便に振り分け |
通関遅延 | 書類不備などで積載できない |
スケジュール変更 | 船会社の都合でスケジュール全体が調整されることも |
📍 よって、実際の出港日・到着日が変わる前提で調整を組んでおくことが大切です。
✅ 実務での調整ポイント5つ
- バッファ(余裕日数)を設ける
→ 到着予定日の3〜5営業日後を納品予定にするのが安全。 - ETDからリードタイムを逆算して出荷計画を立てる
→ 工場出荷日・インボイス発行・通関締切との連動が重要。 - ETAの更新を定期的にチェックする(毎週/毎便)
→ 船社のトラッキングやフォワーダーからの案内メールを活用。 - 納期遅延が発生しそうな場合はすぐ連絡・再調整
→ 買い手・営業・倉庫など関係者全体への連絡が遅れると二次的損害が出る。 - シーズンや港の稼働状況に注意
→ 中国旧正月・クリスマス前・連休明けは混雑でETAがズレやすい。
✅ よくあるトラブル事例
❌ ケース1:ETDの見落としで積み込みに間に合わなかった
→ ブッキング締切に気づかず、積載できず次便へ
❌ ケース2:ETAを納期と誤認し、現地倉庫で受け入れ不可
→ 実際の引き取り可能日はETAの翌営業日以降
❌ ケース3:通関が遅れて予定通り引き取り不可
→ ETA当日に配送手配したが、通関完了しておらずトラックが待機料発生
✅ まとめ:ETD・ETAを正しく読み、計画的に動こう
用語 | 意味 | 実務上の活用 |
---|---|---|
ETD | 出発予定日 | 通関締切・出荷準備の基準になる |
ETA | 到着予定日 | 納品・引き取り・倉庫準備の基準になる |
バッファ期間 | 3〜5日 | 納期の信頼性確保・トラブル防止に不可欠 |
📝 実務アドバイスまとめ
- 「ETA=納期」ではない → 引き取り可能日はETA+1〜2日と考える
- フォワーダーや船社とこまめに連絡を取り、変更には即応
- ETD/ETAのズレを前提に、あらかじめ余裕をもったスケジューリングをしましょう。