国際物流で最もよく使われる輸送手段のひとつが海上コンテナ輸送
しかし、初めての輸出入で直面するのが、「LCLとFCL、どっちを選べばいいの?」という問題です。

「混載便(LCL)だとコストが安い?」「FCLの方が早く届く?」など、選び方によってコスト・納期・通関手続きが大きく変わってきます。

この記事では、LCLとFCLの違いやメリット・デメリット、選び方の判断軸やコスト比較シミュレーションを、実務目線で詳しく解説します。


✅ そもそも「LCL」と「FCL」とは?

用語意味正式名称日本語表記
FCLFull Container Loadコンテナ1本を丸ごと1社で使用コンテナ便(貸切)
LCLLess than Container Load他社の貨物と混載して使う混載便(相乗り)

✅ FCL(コンテナ貸切便)の特徴

✔ 内容:

  • 20ftまたは40ftのコンテナ1本を1荷主専用で使用
  • 出荷元(工場)でバン詰め → 輸出港へ直行
  • 荷受人がコンテナごと受け取り、デバンニング(荷下ろし)する

✔ メリット:

  • 自社専用で安心(梱包崩れ・他社干渉リスクが低い)
  • 荷量が多いほど1㎥あたりの輸送単価が安い
  • 通関処理がスムーズ(他社貨物の検査に影響されない)

✔ デメリット:

  • 荷量が少ないと割高(スペースを使い切らないと損)
  • バン詰め・デバンの費用が自社負担
  • コンテナ単位での納期管理が必要

✅ LCL(混載便)の特徴

✔ 内容:

  • 複数の荷主の貨物を1本のコンテナにまとめて出荷
  • 輸出地の「CFS(混載倉庫)」に搬入 → 海上輸送
  • 輸入地のCFSでデバンニング後、個別配送

✔ メリット:

  • 荷量が少なくても気軽に海上輸送ができる
  • コンテナスペースをシェアするので安価(※一定条件下で)
  • 小口でもフォワーダーが一括手配

✔ デメリット:

  • 他社との混載なので輸送ダメージのリスクあり
  • 納期がやや遅くなる(CFSでの仕分け・検査が必要)
  • 他社貨物のトラブルに巻き込まれることも

✅ LCLとFCLの選び方|実務で使える判断基準

比較軸FCLLCL
荷量が多い(15m³以上目安)✅ 有利❌ 割高
荷物の破損リスクを避けたい✅ 個別管理❌ 混載リスクあり
コストを抑えたい(小口)❌ スペース余りで損✅ 必要分だけ支払う
納期を優先したい✅ スケジュール管理がしやすい❌ 混載倉庫作業が遅れやすい
複数仕向地に分ける❌ 向いていない✅ 柔軟対応可能

✅ 【試算】LCLとFCLのコスト比較シミュレーション

※仮定条件:輸出元=東京、輸入先=シンガポール、貨物重量2トン、体積10㎥
※為替・燃料サーチャージなどは簡略化

項目FCL(20ft)LCL
海上運賃120,000円(1本分)90,000円(10㎥分)
バン詰め費用30,000円不要(CFS持ち込み)
デバン費用30,000円不要
書類費・通関費20,000円20,000円
合計200,000円110,000円

→ この条件ではLCLの方が90,000円安い
→ ただし、荷量が15㎥を超えるとFCLが割安に。

私たちに相談すればもっと安くなるかもしれません。

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✅ LCL・FCLの注意点とトラブル事例

トラブル内容防止策
LCL:他社貨物の遅延で足止め一部貨物が通関に時間がかかると全体に影響フォワーダーとのスケジュール確認を密に
FCL:積載が半分以下で高コスト荷量が少ないのにFCL指定してしまう必ず見積時に㎥あたりで試算する
LCL:梱包破損・紛失混載で荷物の扱いが荒くなる場合ありパレット積み+防水・補強梱包推奨

✅ まとめ|荷量・納期・コストで最適な輸送方法を選ぼう!

判断軸おすすめ輸送方法
荷量15㎥以上FCL(貸切便)がお得
小口・試験出荷LCL(混載便)が手軽
輸送品質優先FCL(他社との混載がない)
複数仕向地対応LCL(柔軟配送が可能)

📝 実務アドバイス

  • まずは貨物の体積(㎥)と重量(kg)を確認
  • 輸送見積依頼時に「LCLとFCL両方のパターン」で依頼すると比較しやすい
  • フォワーダーに「納期優先」「コスト優先」どちらかを伝えることで、最適提案が得られる
  • FCL利用時は通関書類やB/Lの管理責任も大きくなるため社内体制を整えておく