はじめに|“世界と出会う場”としてのFOODEX JAPAN
「FOODEX JAPAN(フーデックス・ジャパン)」は、アジア最大級の国際食品・飲料展示会として、毎年3月に千葉・幕張メッセで開催されます。国内外の食品バイヤー、メーカー、自治体、商社、飲食業関係者などが集結するこのイベントは、販路拡大、商品発表、市場調査の最前線として機能しています。
本記事では、FOODEX JAPANの基礎情報から、出展・視察のメリット、活用ポイント、成功事例までをわかりやすく解説します。
FOODEX JAPANの基本情報
開催概要
- 正式名称:FOODEX JAPAN(国際食品・飲料展)
- 主催:一般社団法人日本能率協会(JMA)
- 開催時期:毎年3月(4日間)
- 会場:ビッグサイト(東京都)
- 初開催:1976年
- 開催規模(2024年):
- 出展社数:約3,000社(うち海外約30%)
- 来場者数:約73,000人(うち海外バイヤー約6,500人)
- 出展国・地域:44か国・地域
対象分野
- 加工食品、冷凍食品、調味料、菓子・スナック
- 飲料(アルコール・ソフトドリンク)
- 健康食品・機能性食品・有機食品
- 外食・中食向け業務用食品
- 食品関連機器・パッケージ・物流支援
FOODEX JAPANの魅力とは?
アジア・世界に向けた販路開拓の拠点
アジア全域、欧米、中東、オセアニアなどからバイヤーが来場。特に日本食の人気が高いアジア諸国からの調達担当者が多数来場するため、日本企業にとっては輸出の登竜門です。
トレンド発表の最前線
- 植物性プロテイン・代替肉
- 機能性スナック・グルテンフリー
- 無添加・ナチュラル素材
- パッケージのサステナビリティ
上記のような最新食トレンドに基づいた製品が多数出展され、来場者の「食の未来」を掴むヒントになります。
地方産品・地域ブランディングの強化に
農林水産省・自治体・商工会議所などが参加し、地域特産品の輸出促進や観光・食の連携強化も図られています。
出展メリットと準備のポイント
商談機会の最大化
- 国内外の小売・卸・外食・ECバイヤーとの商談が1日数十件にも及ぶことも。
- 事前マッチングシステム(FOODEX商談予約)により、展示会前から商談機会を作ることができます。
ブランディング・テストマーケティング
- 新商品のテスト発表の場としても有効。
- 海外来場者から直接フィードバックを得られる点で、製品改良や現地仕様検討にも有効。
出展準備のポイント
準備項目 | 推奨事項 |
---|---|
商品展示 | 衛生・保存条件に配慮した試食可展示 |
パンフレット | 英語・中国語など多言語展開が効果的 |
名刺 | 英語・繁体字併記推奨 |
商品説明 | 原料・製造工程・アレルゲン等を明記 |
成約想定価格 | FOB/CIF価格で提示準備を |
来場者・バイヤーの傾向
海外バイヤーの属性
- スーパーマーケット・専門店の調達担当者
- ECモール運営企業(台湾、韓国、タイ等)
- 現地卸商社
- インバウンド向け製品調達企業
国内来場者の属性
- 小売バイヤー(コンビニ、百貨店、量販店)
- レストランチェーン・ホテル
- 商社・食品流通業者
- メディア・マーケティング担当者
成功事例紹介|FOODEXを活用して輸出につながった企業
✅ 事例①:山梨県のワイナリー
ブースにて外国語パンフ+英語接客対応を整備し、台湾の高級百貨店と取引成立。現地消費者イベントへと展開。
✅ 事例②:九州の冷凍惣菜メーカー
冷凍パッケージ+英語表示+試食提供で、シンガポールECとの定期契約に発展。
✅ 事例③:日本酒メーカー
食品業者とは別に飲料ゾーンに特化出展。試飲+地域性の訴求でバイヤーの注目を集め、中東向け輸出に成功。
視察の活用法|出展だけでなく情報収集にも価値あり
食トレンドの調査
- 世界の最新パッケージや製品設計に触れられる
- コンセプトブースやセミナーで“未来のヒント”が得られる
競合ベンチマーク
- 他社の価格帯・成分構成・販促ツールを現場で確認
- デザインや訴求ワードなど、現地でしか得られない情報収集
出展後のフォローアップ戦略
商談記録の整理と再アプローチ
- 商談後72時間以内のメール・カタログ送付が成約率に直結
- メール、SNS、ビジネスチャットなど複数チャネルで接点維持
支援機関の活用
- **JETROの「新輸出大国コンソーシアム」**による商談支援
- 輸出商社との連携や、**貿易代行会社(例:海外営業部ドットコム)**との組み合わせで成約までスムーズに
展示会出展後の海外企業へのアフターアプローチに不安があればこちらがおすすめ
出展を検討している方へ|参加方法とコスト感
出展の手順
- FOODEX JAPAN公式サイトから申し込み
- 出展内容・ブース数に応じて費用見積もり
- 小間サイズ:3×3mが基本(システムブース・装飾含まず)
出展費用(目安)
項目 | 費用 |
---|---|
出展基本料 | 約20万〜50万円/1小間 |
装飾費・施工費 | 約20万〜40万円 |
通訳・運営費 | 約10万〜20万円 |
※自治体の助成金や自治体のFOODEX出展企業の募集に応募したりJETRO支援制度などを活用すると負担軽減できることがあります。
まとめ|FOODEX JAPANは“出会い”と“発信”の場
FOODEX JAPANは、単なる展示会にとどまらず、日本の食品業界が世界とつながる「出会いと発信」の場です。
- 出展者にとっては、輸出契約のきっかけとなり得る実践的な商談の場
- 来場者にとっては、世界の食品トレンドに触れ、情報・刺激を得る学びの場
食品・飲料業界に関わるすべての人にとって、FOODEXは見逃せないイベントです。海外市場へ踏み出す第一歩として、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。