UAEの食品規制の全体像
UAEの食品規制は連邦レベルで統一が進んでおり、2025年時点で輸入食品にもローカル製品と同等の安全基準が適用されています。
以前は首長国ごとに食品安全制度が分散していたものの、**2025年に施行された「統一食品安全フレームワーク」で全国一律の基準に整理されました。**これにより、輸入業者・流通業者は煩雑さが軽減されています。
主な統制要素
- 食品安全管理:国立食品安全委員会(National Food Safety Committee)が中心
- リスクベース検査:危険度に応じた検査頻度が適用される
- 輸入・流通・販売まで一貫した規制体系が適用される
- Eコマースを含む全チャネルが対象に拡大されている
📦 食品輸入に関わる基本的な規制
✅ ① 食品輸入の認可・登録
UAEに食品を輸入する場合、食品製品ごとに登録(特にドバイ・アブダビ等の「Food Import & Re‑export System」への登録)が必要です。これは輸入前の承認プロセスであり、ラベル・成分・原産国・輸入者情報などの提出を含みます。
✅ ② ラベル表示要件
- 英語・アラビア語両方の表示が求められる
- 原材料・アレルゲン・消費期限・原産国表示が必須
- 表示違反は輸入拒否や販売停止の対象になります
✅ ③ 食品包装規格と材料
食品用容器・包装に関する規格(UAE.S GSO 規格等)が適用されます。容器の素材・安全性・適合認証が必要であり、ESMAやMoIATシステムへの登録・適合性証明が求められます。ジェトロ
✅ ④ プレパッケージ数量管理
2025年1月27日施行の連邦規則により、事前パッケージの数量表示・正確性管理が義務化され、過少表示や誤誘導パッケージを防ぐ措置が講じられています。表示はアラビア語を含む必要があります。
📍 2025年に導入・変更された主要な規制
2025年はUAEの食品規制体系が大きく進化した年です。以下の重要な変更点が実務的な影響を与えています。
📌 ① 統一食品安全フレームワークの本格施行(2025年)
UAEは従来の個別規制を廃止し、国全体で統一された食品安全システムを導入しました。これにより、複数首長国で別々の書類や認証ルールが存在した運用から抜本的に改善されました。新制度では:
- 輸入食品の全国一律検査基準適用
- リスクベースの検査頻度の導入
- 書類提出・トレーサビリティの強化
といった運用が標準化されています。
特にリスクベース制度により「高リスク食品(生鮮・加工品等)」は従来より頻繁な監査・検査の対象となるようになりました。
📌 ② eコマース含む全チャネル規制の強化
2025年の施行規則により、従来の店舗や輸入流通のみならず、オンライン食品販売プラットフォームも食品安全規制下に置く取り組みが強化されました。UTRAやTDRA(通信・デジタル庁)など複数機関と連携し、EC販路でもラベル・輸入履歴・食品安全情報の整備が求められます。
📌 ③ Nutri‑Mark制度の導入(Abu Dhabi中心)
2025年6月1日から、アブダビにおいてNutri‑Mark(栄養表示認証制度)が開始されました。パン・ベーカリー、飲料、乳製品、脂肪・油類など特定カテゴリの栄養表示義務が導入されており、以下の点で対応が必要です:
- ラベルにNutri‑Markの栄養格付けを表示
- アブダビ向け販売では必須認証
- 未対応製品は棚卸しまたは販売停止の可能性あり
この制度はUAE全土に今後広がる可能性が高く、2025年以降は輸入商品ラベルの設計時点でNutri‑Markを視野に入れる必要があります。
🛃 実務面で注意すべきポイント
▶ 食品の全国一括管理システムへの登録
食品ごとに全国データベース(FIRS等)へ登録し、成分・ラベル・輸入者情報を正確に提出します。
▶ ラベル表示は必ずアラビア語併記
UAEはアラビア語が公用語のため、英語だけでは不十分です。原材料・アレルゲン・消費期限はアラビア語で表示しましょう。
▶ 包装材料や数量表示の適合性
食品包装や容器について、現行規格と2025年の数量表示ルールを遵守することが求められます。
▶ オンライン販売も規制対象
オンラインECでの食品販売は従来より厳格に扱われ、デジタル販売チャネルでも安全・トレーサビリティ要件が適用されるようになっています。
📊 まとめ
2025年のUAE食品規制は「統一・強化・透明性向上」をキーワードとした大きな制度刷新の年です。主なポイントは次の通りです:
✅ 全国一律の食品安全フレームワークが本格施行
✅ 食品輸入・流通・販売ルールが統一・強化
✅ ラベル・包装・数量表示が明確に規定
✅ 特定カテゴリにNutri‑Mark等の新制度が導入
✅ オンライン販売チャネルも規制対象に拡大
これらはUAEを食品輸入市場として成立させるうえで避けて通れない要件であり、輸出者・輸入者は早期対応が求められます。