ベトナム向けの加工食品の事前登録とベトナムへのSEOは株式会社ノーパット

ベトナムの食品規制の全体像

ベトナムでの食品輸入・流通は、食品安全法(Law on Food Safety 55/2010/QH12)を根拠とし、複数の政令・通達によって細かく規制されています。輸入食品は品質・衛生・表示・ラベル管理など、国内食品と同様の厳格な要件が課せられています。

食品輸入に関係する主な法令・制度は以下です:

  • 食品安全法(2010年):基本法規
  • Decree 15/2018/ND‑CP:実施細則(安全申告・検査等)
  • Circular 28/2021/TT‑BYT:輸入食品と添加物等のリスト
  • Circular 08/2025/TT‑BYT:輸出向け食品証明に関する手続き規定(2025年施行)

輸入食品の安全基準は製品ごとに異なり、成分・添加物・微生物基準・汚染物質等が基準値内に収まっている必要があります。


2025年の主要な規制変更・新制度

食品安全法の改正ドラフト(2025年施行予定)

ベトナム保健省は2025年に食品安全法の大幅改正案を進めています。主要なポイントは以下です:

  • 禁止行為の拡大:偽装広告や消費者情報の隠蔽、eコマース上の違法表示などを明確に禁止。
  • 登録者の責任強化:製品登録・自己申告の主体者に安全性・品質の責務を明確に課し、違反時の登録取り消しリスクを強化。
  • リスクベース管理導入:高リスク製品・企業には厳格な監督、低リスクには簡素化された手続き枠を用意する制度へ移行。
  • ラベル要件強化権限:保健省に栄養警告等の詳細なラベル要求を定める権限を付与し、将来的な栄養表示要件強化の可能性を示唆。

この改正法が2025年末~2026年前半頃に成立・施行される見込みで、食品輸入・流通のルール全般に影響を与える可能性があります。


輸出食品証明の手続き規定(Circular 08/2025/TT‑BYT)

2025年3月、Circular 08/2025/TT‑BYTが発行され、輸出向け食品に関する証明書の発行手続きが明確化されました。
これは輸出先の要求に応じて発行される「輸出証明」や衛生証明書の申請・発行プロセスを規定するものであり、輸入国側が証明書類を要求するケースに備える必要があります。


栄養表示要件の導入(2024年策定・2025年まで移行期間)

2024年に導入された栄養成分表示ルール(エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、ナトリウムなどの記載義務)は、2025年末までの遵守期限が設定され、2026年以降は非準拠ラベルの使用・輸入が禁止されます。
このルールは輸入食品にも適用され、適切な栄養表示ラベルを事前に準備することが必須となります。


小口輸入免税の廃止(2025年2月施行)

2025年2月に発出された決定01/2025/QĐ‑TTgにより、従来適用されていた小口輸入貨物に対する免税制度が廃止されました。
これにより、国際宅配便・EC輸入等の少額貨物であってもベトナム側で関税・付加価値税(VAT)の課税対象となり、免税での輸入ができなくなっています。輸入コストや通関手続きが変化するため注意が必要です。


食品輸入・販売時に必要な手続きと書類

📌 ① 製品の自己申告または登録

ベトナムでは、一般の食品については自己申告制度が基本となっていますが、特定の食品(特別用途食品や成分添加が特殊なもの等)は事前登録が必要となるケースがあります(自己申告義務・存在確認は専門機関にて要確認)。


📌 ② 輸入許可・通関申請

  • HSコードに基づく税関申告
  • 食品安全管理当局のチェック
  • 必要に応じて輸入検査・検疫

ベトナムでは複数の省庁(保健省・農業農村開発省・工業貿易省)が関与し、製品カテゴリによって申請経路が異なります。


📌 ③ ラベル・栄養表示

2025年末までに栄養表示ルールの対応が必須です。ベトナム語で表示することが望ましく、成分・栄養値・原産国・販売者情報などの記載が求められます。


税関・通関上の注意点

  • 免税制度廃止により、小口輸入でも関税・VATが課されるようになりました。
  • 通関書類(Invoice・Packing List・成分分析証明など)の準備精度が検査結果に影響します。
  • カスタムコード(HSコード)の正確な指定が税率・検査対象に大きく影響します。

実務のポイントと戦略

✅ ① 事前調査と自己申告/登録の分岐

多くの食品は自己申告(Self‑Declaration)で対応できますが、特定カテゴリーや新規製品の場合は登録手続きが別途必要になります。これには時間・サンプル提出が必要な場合もあるため、早めの対応が成功の鍵です。


✅ ② 栄養情報ラベルの対応

2026年1月以降、非準拠ラベルは使用不可になるため、2025年中に対応ラベルを準備しておくのが必須です。複数言語対応(ベトナム語+英語など)も市場浸透を高めるポイントです。


✅ ③ 小口輸入のコスト見直し

免税制度の廃止により、宅配便/EC輸入のコスト構造が変化しています。小ロットで販路テストを行う場合でも、税金・VAT・通関手数料が発生する点を価格設定に反映させる必要があります。


まとめ:規制対応が成功のカギ

ベトナムの食品規制は、消費者保護と市場安全のために年々進化しています。2025年は

✔ 食品安全法改正ドラフト進行中(規制強化方向)
✔ 栄養表示ルールの義務化
✔ 小口輸入免税の廃止
✔ 輸出証明手続きの整理

といった重要な変化があり、輸入企業や販売会社は最新の法制度を把握し、輸出・通関・ラベル対応を計画的に整備する必要があります。