国際輸送の現場で「とりあえずFOBで」と使っていませんか?
しかし、時代は変わり、コンテナ貨物が主流の現在ではFOBでは対応しきれないリスクもあるのが現実です。

この記事では、インコタームズ2020におけるFCAとFOBの違いを徹底比較し、特にコンテナ輸送においてどちらを選ぶべきかを実務目線で解説します。


✅ インコタームズの基本:FCAとFOBとは?

用語正式名称主な特徴
FCAFree Carrier(運送人渡し)売り手が指定場所で貨物を運送人に引き渡す
FOBFree On Board(本船渡し)売り手が貨物を本船に積み込むまでの責任を負う(海上輸送専用)

✅ 責任とリスクの比較表

比較項目FCAFOB
リスク移転地点指定地で運送人に渡した時本船に積み込んだ時点
対応輸送モード海上・空輸・陸送すべてOK海上輸送専用
通関義務売り手が輸出通関売り手が輸出通関
実務上の書類対応船積書類(B/L)を柔軟に取得可能B/L発行に制約がある場合あり(コンテナ時は注意)
コンテナ貨物との相性◎(CFSやCYでの引渡しが可能)△(本船積み込みが見えない=実務的に不適)

✅ なぜコンテナ貨物にFOBは適さないのか?

FOBはもともとバラ積み貨物(ブレークバルク)向けに設計された条件です。
しかし現在の貨物はほとんどが**コンテナ輸送(CY積み)**であり、次のような問題が生じます:

  • ❌ 売り手が本船への積み込みを管理できない(港で運送業者が対応)
  • ❌ 貨物が早期にCY(コンテナヤード)に引き渡され、売り手が積載確認できない
  • ❌ 輸出者がB/Lを得られない可能性がある

👉 結果として、「積み込み完了」の証明が難しくなり、トラブル発生時のリスクや責任があいまいになるのです。


✅ FCAなら柔軟でリスクが少ない

FCAを使えば:

  • ✅ コンテナ貨物でも運送人(フォワーダーなど)への引渡しが前提
  • ✅ CFSやCYなどの中継地点での引渡しがOK
  • ✅ 「FCA + B/L発行補足条項」で信用状(L/C)にも対応できる
    (例:「FCA Tokyo Port, B/L to be issued by carrier upon loading」)

✅ FCAとFOBの選び方まとめ

条件適した用語
コンテナ貨物(LCL/FCL)FCAが最適
バラ積み貨物(鉄鉱石など)FOBが実用的
船会社との連携が不明確FCA(売り手が積載確認不要)
信用状でB/Lが必要FCA + 補足条項で対応可能

✅ 実務担当者へのアドバイス

  • 「FOB慣れ」で続けている取引先とは、FCAへの移行を提案してみる価値あり
  • 契約書には必ずインコタームズのバージョン(例:Incoterms® 2020)と引渡地を記載
  • コンテナ混載時は「FCA CFS Tokyo」など明示し、責任範囲を明確に

✅ まとめ

項目FCAFOB
コンテナ時代の主流
実務的なリスク回避
柔軟性と書類対応

FCAはコンテナ時代における実務に即したスマートな選択肢です。
FOBは古いとは言いませんが、現代の物流と書類要件に合っているか再確認しましょう。