――日本から輸出する企業が知っておくべき2025年の最新動向

本記事は2025年7月14日の記事です。


はじめに|“関税”を知らずにアメリカに輸出していませんか?

アメリカは、言わずと知れた日本企業にとって最大級の輸出先のひとつです。しかし、アメリカへ商品を輸出する際に避けて通れないのが「輸入関税(Import Duties)」です。

2025年7月には、トランプ前大統領による再任に向けた追加関税政策として、日本製品に対する新たな関税措置が発表され、自動車・精密機器・一部食品に関わらず全ての製品に影響が出ます。

本記事では、日本からアメリカに商品を輸出する際の「関税の調べ方」「実際の税率の確認方法」「通関時の注意点」「政治リスク」まで、最新情報を交えてわかりやすく解説します。


アメリカにおける関税制度の基礎知識

アメリカの輸入関税の仕組み

アメリカでは、すべての輸入品に対し「HTSUS(Harmonized Tariff Schedule of the United States)」という関税表に基づいて関税が課されます。

  • 各商品には10桁のHSコード(HTSUSコード)が付与されており、商品分類ごとに税率が異なります
  • 輸入者(アメリカ側)が、通関時にHTSコードとインボイス価格に基づいて関税を支払います。
  • 日本の輸出者としては、適切なHSコードの分類・価格提示・書類整備が非常に重要です。

関税の算出式(実務的ポイント)

一般的に、アメリカ関税の計算は以下の通りです:

課税対象金額(CIF) × HTSコードに基づく税率 = 輸入関税額

※CIFとは、商品価格(FOB)+保険料+海上運賃を含めた金額です。


アメリカ関税の調べ方|HTSUS(HTSU)の使い方

調査に使う公式ツール

関税率は、**米国国際貿易委員会(USITC)**が運営する下記のHTS検索サイトで確認可能です:

🔗 HTS Search(https://hts.usitc.gov)

調べ方のステップ

  1. 英語で商品を検索(例:green tea, ceramic plate, car parts)
  2. 検索結果から該当商品のHTSコードを特定(10桁)
  3. 「General」列の税率(通常税率)を確認
  4. 「Special」列はFTA適用時の優遇税率(日本には未適用)

日本からの主要輸出品とアメリカ関税の一例(2025年時点)

商品カテゴリHSコード(例)関税率(通常)
自動車部品ブレーキパッド8708.30.002.5%
陶磁器・台所用品湯呑み・皿6912.00.446.6%
抹茶(粉末緑茶)食品グレード0902.10.100%
電子部品コンデンサ8532.21.000~2.5%
加工食品醤油・味噌など2103.90.803~7.5%程度

2025年7月:トランプによる対日追加関税の発表内容

トランプ前大統領の「対日輸入関税強化案」とは

2025年7月、トランプ氏は共和党全国大会での演説で、日本と韓国など様々な国に対する輸入関税の見直し・強化を発表しました。

具体的には:

  • 2025年8月1日より日本から輸入される全ての製品に対して25%の追加関税を導入予定

📌 対応のポイント

  • 輸出企業は対象品目のリストアップと税率変動のモニタリングが必須
  • 必要に応じて、米国内販売先と価格調整交渉が必要になる可能性もあります

実務での注意点|日本の輸出者が押さえるべきこと

✅ HSコードの正確な分類

  • 税率はHSコード1桁の違いで数%異なるため、誤分類は損失につながります。
  • 不明な場合は、アメリカの通関業者(Customs Broker)に確認するのがベストです。

✅ バイヤーへの事前通知と関税負担の明確化

  • アメリカでは「輸入者=税金を支払う人」ですが、取引条件(インコタームズ)によって輸出者が関与することもあります
  • 「CIF」「DDP」などの取引条件では、関税負担も自社で試算しておくべきです。

✅ 関税以外の追加費用

  • アメリカでは、関税のほかに以下のコストがかかる場合があります:
    • MPF(Merchandise Processing Fee):0.3464%
    • HMF(Harbor Maintenance Fee):0.125%

関税対策と価格戦略のヒント

課題解決のヒント
税率が高く価格競争力が落ちる複数製品をパッケージ化し、関税が低い商品コードで分類できる可能性を検討
政治リスクに翻弄されたくない米国現地法人や第三国経由の展開を検討
通関トラブルを避けたい日本側からHSコード、原産地証明、成分明細書をきちんと準備し、輸入者と共有

まとめ|2025年のアメリカ輸出は“関税×政治”への対応力がカギ

2025年現在、アメリカへの輸出環境は政治的な影響を強く受けています。トランプ前大統領の復権の可能性が報じられる中、関税政策が“選挙の武器”として活用される場面も増えてきました。

輸出を成功させるには、次の3つの力が不可欠です:

  1. HSコードと税率の把握
  2. 政治・政策動向のモニタリング
  3. パートナー(通関業者・バイヤー)との連携体制

「輸出=売って終わり」ではなく、「輸出=政策と戦略の連動」。
この記事をきっかけに、自社のアメリカ輸出体制を見直してみてはいかがでしょうか。